もう、3年ほど前の話になりますが、
神奈川の某公認教習所が、
中央労働委員会(中労委)から救済命令を受けたことがありました。
中労委は、初審(神奈川県労働委員会)の判断を支持し、
労働組合側の要求を全面的に認めました。


救済命令の具体的な内容はいろいろあったのですが、
そのほとんどは、
「労働組合員と非組合員とを差別してはいけない」というもので、
「確かにその通りだ」と、小生もうなずけました。

ただ、どうしても解せなかったのは、
「ストライキを前日に撤回したが会社はその日を不就労扱いとした」ということまで、
不当労働行為と断定された点です。


この商売は、
教習生からの教習予約が入らなければ、仕事になりません。
ストライキが予定されていれば、その日の教習予約を受けるわけにいかず、
実際、この事案では、入っていた予約のキャンセルまでしたそうです。
なのに、労働組合は前日になって突然、ストライキを撤回。
教習予約が無いのに労働者を出勤させて何の仕事をさせると言うのでしょう。
同業者としては、
会社側がその日を休業し不就労として扱ったのは、無理からぬ措置だと思いました。

しかし、中労委は、それを許さなかったのです。
もっとも、
この会社は、労働組合をあからさまに目の敵にしていましたので、
一連の言動の中で、この「不就労扱い」も、
「組合員の動揺を誘い、組合弱体化を図ったもの」と見られたようです。


それにしても、
こういう事件がニュースになると、教習所の評判は悪くなりますし、
それ以前に、
働いている人たちが不平不満を抱えていたのでは、
おのずと教習の質も落ちてくることでしょう。

本来、会社と従業員とは、敵対するものではなく、
「同じ目的を持った仲間」であるはずです。
そのことを(労使とも)認識して、
「明るく楽しい職場」を作っていきたいものです。
それは教習現場の空気にも表れてくるに違いありません。

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